22万頭の生産から流通までの一貫体制アピール
社内公募により決定された
フリーデンのオリジナルキャラクターフッピー
2005スーパーマーケット・トレードショーが3月9日〜11日の3日間、東京・東京ビッグサイトで開催された。食品スーパーを正会員、スーパーと取引のある食品メーカー、設備機器メーカー、卸などを賛助会員とする(社)日本セルフ・サービス協会が主催する見本市で、今年で第39回目。年間約22万頭の養豚生産力を背景に豚を軸としたユニークな食材の供給を拡大している(株)フリーデンが昨年に引き続きブースを出し、新たなアイテムをもって新たな取引先拡大を狙った。
特製ローストポークは、
ブロックがスライスされる側から
来場者の胃袋に消えていった。
今年、客寄せの目玉は低温スチームで12時間かけて仕上げるという特製の"ローストポーク"。肉の中心部はピンク色だが熱は通っており、やわらかくジューシー、そして飽きのこないさっぱりとした味わいに、多くの入場者がひっきりなしに手を伸ばす。昨年は、直営レストランの人気メニューである"やまと豚薬膳不老長寿鍋"を振る舞って人気を博したが、同じメニューでという野暮なことはしない。
同社取締役・広報室長の前田隼彦氏は、「私たちは養豚の生産から発展してきた会社ですから、豚1頭丸ごとをいかに無駄なく商品にするかということを常に意識しています。そういうなかで、今年は"メインディッシュ"としてローストポークを提案しました。今まで誰も食べたことのないものを提案することで、"ロースとポークといえばフリーデン"という認識を植え付けていくことが狙い」と話す。また、同じコンセプトから、精肉以外の商材として力を入れているのが、内臓関連の商品だ。農場から流通・加工、自ら外食まで手がける一貫システムのインテグレーション企業として、すべてのラインで防疫、衛生体制の徹底を図っていることをアピールし、モツ・キモの付加価値も高めている。最近人気が高まっていると言うのが、レバーをワインと醤油、みりんなどで味付けし、低温で蒸し煮した商品。ねっとりとした食感で、和風ながらフォアグラを思わせる濃厚な逸品。
精肉はじめハム・ソーセージ、惣菜に
調味料類まで揃えての「食」の提案

こうした常に目を引く食材の提案を可能にしたのは、25年間も海外を歩き、あらゆる食の経験をしたという料理人をアンテナショップのレストラン"豚肉創作料理やまと"に料理長として迎えたことだったと言う。豚肉というまさにポピュラーな食材から無国籍の料理を文字どおり創作してきた人材が、今は本社サイドにあって、加工品、惣菜の開発を手がけている。「ほとんどナショナルブランドになりつつある」というカレールーをはじめ、バラエティー豊かなハム・ソーセージの加工品、惣菜類は、大手加工メーカーの製品とは一線を画した"ブランド"として流通業界に浸透しつつある。
こうした販売面の活発な展開にあと押しされる形で、生産部門でもさらに規模の拡大が目指されている。そのなかでは、食料自給率の向上と地域の活性化、環境保全の考えを取り入れる。まだ計画中とのことだが、具体的には堆肥を利用し、有機野菜の栽培はもとより、飼料米の稲作にも取り組んで豚の飼料として循環させることも検討されている。さらに、風力発電プラントを導入して農業で消費するエネルギーの節約、二酸化炭素の削減にも寄与していくことで社会貢献する。こうした取り組みを通じて企業イメージの向上にも結びつけるという戦略、すべてかつては農場の現場で働いていた人間が企画し、1つづつ実行に移しているところがフリーデンの魅力であり、強みだろう。

更新日05/04/25